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漫画家の死亡めぐる過熱報道を懸念、厚労省指定の一般社団法人がマスコミに注意喚起
漫画家の芦原妃名子さんの死亡が1月29日に報じられたことを受け、厚生労働大臣指定の一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」は同日、メディア関係者に向けて、WHO(世界保健機関)による『自殺報道ガイドライン』を踏まえた報道を求めた。
センターは同日に出したリリースで「漫画家の芦原妃名子さんが亡くなっているのが見つかり、自殺の可能性があるとの報道がなされています。著名人の自殺に関する報道や、その手段や場所等の詳細を報じることは、内容や報じ方によっては、とりわけ子どもや若者、自殺念慮を抱えている人に強い影響を与えかねません」と注意を発信した。
40位まで表示されるYahoo!ニュースのアクセスランキングは、1月29日午後8時44分 現在、1位を含めて24件の記事が芦原さんに関する報道。「ガイドライン」では見出しに『自殺』という言葉を使わないとされているが、全国紙を含めて使用しているメディアがあった。
芦原さんは日本テレビで実写ドラマ化された漫画『セクシー田中さん』の作者。その脚本をめぐり、長文でXに自身の思いを投稿していた。
報道や情報に触れてつらくなった人のため、いのち支える自殺対策推進センターでは「こころのオンライン避難所」を設けている。
URLはこちら。
https://jscp.or.jp/lp/selfcare/
(1月30日午前6時55分・見出しを修正しました)
「柳井社長もやってみて」身分隠してユニクロ取材・横田増生が教える「潜入テク」
「今日はユニクロなんですよ」。自身を指差して、横田増生さんは接客で鍛えた「ユニクロスマイル」を浮かべた。ポイントは口角の上げ方なんだとか。
「プライベートでは、ユニクロは着ないですね。洋服とか気にしないから、何年も同じ服。見るに見かねて妻が服を買って来るぐらいなんです。でも、今回は取材を受ける度に違うユニクロの衣装を着ようと思って。おんなじだと悪いから衣替えしようと。1インタビュー、1コーディネート」
週刊文春で発表され、大きな反響を呼んだユニクロ潜入レポートからおよそ1年。横田さんは10月27日、連載をベースに内部の労働実態などをまとめた新刊『ユニクロ潜入一年』(文藝春秋)を発表した。多くのメディアから取材申し込みがあったというから、各媒体の写真にもご注目いただきたい。
横田さんは、ユニクロだけでなく、アマゾンやヤマト運輸などにも潜入したことがあるエキスパートだ。新刊では1章を割いて、柳井正社長に対し、会社を良くするため、「アルバイトとして働いてみてはどうだろう」と挑戦的なメッセージを送っている。
はたして、どうやったら身分を隠して、1年間もユニクロで働けるのだろうか。潜入取材のコツを聞いた。
YouTube「闇金ウシジマくん」のネタバレ投稿は違法…「発信者情報開示」命令
小学館は11月28日、YouTube上に無断アップロードされた漫画の画像や文字情報について、東京地裁が、YouTube社(米・カリフォルニア州)に対して、発信者情報の開示を命じる仮処分を決定したと発表した。決定は11月27日付。同社は「漫画そのものだけでなく、文字だけを抜き出す投稿の違法性も認定された」と、その意義を強調している。
小学館広報室によると、問題になったのは、人気漫画『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平さん)だ。YouTube上に、著作者に無断で、漫画の画像や文字情報がアップロードされていた。同社は今年10月、東京地裁に発信者情報開示の仮処分を申し立てた。
違法にアップロードされた漫画が閲覧できる「海賊版サイト」が社会問題とされる中で、一般には海賊版サイトとされていないYouTubeにも、漫画の画像や吹き出しのセリフを文字情報で紹介する「ネタバレ」投稿がおこなわれているという。
今回の決定について、同社は「漫画の画像だけでなく、吹き出しの文字だけを抜き出して投稿した事例に対しても同様に違法と判断している」「YouTubeのみならず、ネット上に氾濫するいわゆるネタバレサイトを厳しく戒めるもの」とコメント。民事・刑事双方から投稿者の責任を追求するとしている。
たまたま目撃した「他人のトラブル」 携帯で「撮影」するのは違法なのか
横浜市の路上で3月10日午前4時半ごろ、20代の男性2人が見ず知らずの男から殴る蹴るの暴行を受け、そのうちの1人が死亡するという事件があった。報道によると、男性2人組が居酒屋を出た際に通りがかった別の男性とトラブルになったが、そのトラブルを携帯電話で撮影していた男がいたため、これを見とがめたところ、男が殴りかかってきたらしい。
なにか事件や事故があったときに、そこに居合わせた人が携帯で写真やビデオを撮影するというのは、よくあることだ。しかし他人の目をひくようなトラブルであっても、その当事者からすれば、「携帯で撮影されたくない」と思うのは自然な感情だろう。
はたして、たまたま目撃したトラブルや事件・事故を、携帯で撮影することは違法なのだろうか。新聞やテレビのカメラマンならば普通にやっていることだが、一般の人が撮影することは、法律的にどうなのだろうか。相沢祐太弁護士に聞いた。
●携帯での無断撮影は「肖像権」や「プラバシー権」を侵害する可能性あり
「最近、高性能のカメラ付携帯電話の普及に伴い、他人の様子を無断で撮影したり、ネット上にアップしたりすることに特に抵抗がない方が多いようです。しかし、そのような行為は、撮影された人にとっては、いわゆる『肖像権』や『プライバシー権』といった人格的利益が侵害されたということで、損害賠償の問題が生じる可能性があると、肝に銘じておくべきでしょう」
このように相沢弁護士は、「携帯での撮影」が、他人の肖像権やプライバシー権を侵害する可能性を指摘する。
「もちろん、すべての無断撮影が肖像権等の侵害になるというわけではありません。違法となるか否か、損害賠償義務があるか否かについては、撮影された人の社会的地位やその活動内容、撮影の場所、目的、態様や撮影の必要性等を総合考慮して、撮影された人にとって、『社会生活上受忍すべき限度』を超えるものであったか否かによって、判断されることになります(最高裁平成17年11月10日判決)」
つまり、さまざまな要素を考慮して、社会生活を送るうえで受け入れるべき程度といえるかどうかで、他人の様子の無断撮影が違法かどうか決まってくるというわけだ。ただ、これでもまだあいまいな感じがする。実際には、どのよう場合がOKで、どのような場合がNGなのだろう。
●軽いノリで「他人のトラブル」を撮影するのは避けたほうがいい
「たとえば、現に公道上で発生している刑事事件や事故について、マスメディアが報道目的で撮影し、報道することについては 『社会生活上受忍すべき範囲内』であるとして、肖像権の侵害には当たらないことが多いと思います。
他方、特に正当な目的がなく、単なる興味本位で他人の口論を撮影したり、SNSにアップしたりした場合には、そのトラブルの犯罪性や切迫性の有無や程度にもよりますが、公道上であっても、受忍限度を超えるものであり、肖像権の侵害に当たると判断される可能性があるでしょう」
このように説明したうえで、相沢弁護士は次のようにアドバイスしている。
「いずれにしても、最終的な判断は、裁判所が事後的に行うものであり、撮影する瞬間には誰も確実な判断はできません。したがって、軽いノリで他人のトラブルを撮影するのは避けたほうがいいでしょう」
マタハラ控訴審、執務室内の「録音禁止令」が許容されたワケ…労働弁護士から批判の声
語学スクール運営会社で働いていた女性(30代)が「マタハラ」を主張し、雇止めの不当性などを訴えていた裁判。11月28日の控訴審判決は、雇止めを無効とした一審判決を覆し、雇止めを有効と判断した。
その根拠の1つが、会社側が禁止していたにもかかわらず、女性が社内の発言を録音していたという点だ。この点をめぐり、労働問題に取り組む弁護士からは「労働者側のハラスメント立証が難しくなる」などの意見が出ている。
実際、録音について一審判決(阿部雅彦裁判長)は、労使間の紛争で重要な証拠になることから、録音の必要性があることは否定できないなどとして、雇止めをする「客観的に合理的な理由」に当たるとは認めがたいと判示している。
一方、二審判決(阿部潤裁判長)は、会社の録音禁止命令は許容されるとして、女性の録音行為を「服務規律に反し、円滑な業務に支障を与える行為」と評価している。
二審判決はどうしてこのような判断に至ったのだろうか。
なお、一審・二審を通して、会社側に男女雇用機会均等法や育児・介護休業法違反は認められていない。
発達障害の可能性がある同級生から我が子が殴られ、蹴られた…どうすれば? 学校トラブルに詳しい弁護士に聞く
保護者の方は、自分の子どもと同じクラスに、発達障害の可能性がある子どもがいると思ったことはありませんか?
ここ10年ぐらいでよく耳にするようになった発達障害。2022年の文部科学省の調査によると、普通クラスに通っている子どものうち、発達障害の可能性がある子どもは、小学生で10.4%いるという統計が出ています。1年生と2年生の低学年だけ見ると、12%という高い割合になっています。約8人に1人が発達障害の可能性があるということになり、1クラスに4、5人いる計算になります。
一方で10年前の2013年のデータを見ると、小学生の平均が7.7%、1年生は9.8%、2年生は8.2%という結果に。この10年間で発達障害に対する認知度が向上したのと同時に、発達障害の可能性がある子どもの数が増えていることがわかります。
<参考データ>
「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」P8表6、P27表6(令和4年12月13日文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)
発達障害の子どもを持つご家庭の大変さがある一方で、暴力行為を受けてしまった被害者の保護やケアもしなければならず、発達障害は難しい問題となっています。
今回は、教育現場と子どもの権利に詳しい高島惇弁護士に、子どもが暴力行為を受けてしまった場合にどう対応すればよいのか聞きました。(ライター・小日向佑月)
高島惇弁護士
恋人の有無、結婚予定、家族の職業・・・採用面接での立ち入った質問はアウト?
面接で、恋人の有無など立ち入った質問をしてくる会社は辞退すべきーー。ハローワークの相談員からそうアドバイスされたというエピソードが、ツイッターに投稿された。
ハローワークの相談員いわく、面接での「恋人いる?」系の質問は「立派なセクハラ」なのだそうだ。「今後会社に入るかどうかもまだ分からないたかが数分の知り合いに突っ込んだプライベートを聞いてくる会社は100%クロだからそれを聞いた時点で辞退を考えなさい」と真顔で言われたという。
ネット上のQ&Aサイトにも、面接で「家族の職業と勤務先」や「結婚の予定」などを聞かれて困惑したという書き込みがあった。面接で求職者に対して、恋人の有無や結婚予定などプライベートに関する質問をすることは、法的に問題があるのか。中村新弁護士に聞いた。
有休で彼女と旅行のはずが、上司から最悪の出勤命令…失恋したら賠償請求できる?
何か月も前に予約して、職場でも「この日からこの日までは休みます」と言って承諾を得ていたのに、直前になって上司から「悪いけど休まずに出勤して」と言われた方はいませんか。こうした「最悪の指示」に対して、何か法的な請求をすることはできるのでしょうか。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも同様の声がありました。相談者は、有給休暇を使って海外旅行に行こうと思い、旅行会社に申し込んで代金を支払ったのに、その後に会社から仕事の都合で休暇を延期するようにと伝えられたそうです。
休暇を取る許可は上司から口頭でもらい、変更指示は1週間後にあったそうです。こうした場合にキャンセル料を請求することはできるのでしょうか。また、上司の「最悪の指示」により、恋人に愛想をつかされ、破局に至った場合、慰謝料を求めることはできるのでしょうか。大山弘通弁護士に聞きました。
「未使用の新聞紙」アマゾンで大量出品の謎、カテゴリーは「ペットの便所紙」
新聞を購読する人が年々減っている。だからこそ、こんなビジネスが生まれているのだろうか――。
アマゾンなどのネットショップでは、数年前からキロ単位にまとめられた新聞紙が「緩衝材」や「犬用トイレシート」などとして売られている。その中身は、新聞販売店で発生する残紙(広義の「押し紙」)とみられる。
残紙とは、販売店で過剰になった新聞のこと。販売店は、ノルマとして押し売りされた部数というニュアンスで「押し紙」と呼ぶ。これに対して新聞社は、販売店が営業用にみずから購入した部数という主張に基づいて、「予備紙」あるいは「積み紙」と呼ぶ。これらをニュートラルに表現した言葉が「残紙」である。
ちなみにかつて新聞業界は、内部ルールで「予備紙」の割合を、搬入部数の2%と決めていたが、2009年ごろに撤廃した。現在は、「搬入部数-実配部数=予備紙」となっている。そのためたとえ搬入部数の50%が残紙であっても、すべて営業のための予備紙という解釈になっている。残紙問題が深刻になった原因である。
廃品回収された古紙を二次的に使用するのは良いとして、手垢が付いていない残紙の一次使用は紙資源の浪費だという批判がある。資源問題にほかならない。筆者は、その中身を調査するために、残紙15キログラム(1551円)をアマゾンで注文することにした。(ジャーナリスト・黒薮哲哉)
AV出演者の支援団体「AVAN」のHP公開、川奈まり子さん「賛同の輪を広げたい」
アダルトビデオ(AV)の出演強要問題を受けて、元AV女優で現在は作家として活動する川奈まり子さんが代表となって立ち上げた団体「一般社団法人表現者ネットワーク(AVAN)」の公式サイト(http://www.avan.or.jp/)が9月1日、オープンし、その概要が公開された。
この団体は7月中旬、AVに出演する女優や男優、クリエイター(フリーの監督など)を支援するために設立された。女優らが正会員となり、プロダクション(マネジメント会社)が準会員、メーカー(販売・流通会社)が賛助会員として参加する。研究者や弁護士など外部有識者が「アドバイザリーボード」として活動内容について提言をおこなう。
出演者とプロダクションの間で交わす統一契約書をつくるなどして、正会員(女優、男優、クリエイター)の働く環境を整えながら、人権侵害から守るようにすることを目指す。今回オープンした公式サイトなどを通じて、女優や男優などの正会員を募集していく。
川奈さんは「予定よりもずいぶん準備に時間がかかってしまい、サイトにもまだ空欄が多いのですが、ようやくここまで漕ぎつけました。今後サポート態勢を整え、サイトも充実させていく予定です。ご支援いただいた皆さんに感謝しつつ、一歩一歩、着実に歩を進めて、業界の内外に賛同の輪を広げたいと思います」とコメントしている。