942.jpg
他人のゴミ袋を漁る隣人、注意したら「何様のつもりだ」と逆ギレ 勝手な開封、違法では?
2020年12月31日 10時17分

他人のゴミ袋を勝手に開けることは犯罪なのではないか——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の男性は、自宅前の収集場所にゴミ袋を捨てています。ところが、隣人が興味本位からゴミ袋を勝手に開け、中身をチェックしているというのです。

男性がやめてほしいと言ったところ、「何様のつもりだ!」と怒鳴られ、とても不愉快だったといいます。男性は隣人のゴミ袋チェックに精神的な苦痛を感じ、有料の民間業者に頼んでゴミを回収してもらうようにしたそうです。

他人が捨てたゴミ袋を勝手に開けて中をチェックする行為は、法的に問題ないのでしょうか。ゴミ問題にくわしい梶山正三弁護士に聞きました。

他人のゴミ袋を勝手に開けることは犯罪なのではないか——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の男性は、自宅前の収集場所にゴミ袋を捨てています。ところが、隣人が興味本位からゴミ袋を勝手に開け、中身をチェックしているというのです。

男性がやめてほしいと言ったところ、「何様のつもりだ!」と怒鳴られ、とても不愉快だったといいます。男性は隣人のゴミ袋チェックに精神的な苦痛を感じ、有料の民間業者に頼んでゴミを回収してもらうようにしたそうです。

他人が捨てたゴミ袋を勝手に開けて中をチェックする行為は、法的に問題ないのでしょうか。ゴミ問題にくわしい梶山正三弁護士に聞きました。

●隣人の行為は「プライバシーの侵害」

——捨てるつもりのゴミが入っているだけとはいえ、勝手に開けて覗くことは問題ないのでしょうか。

結論から言うと、隣人の行為は個人のプライバシーを侵害するものであるため違法です。もちろん、やめさせることができます。

収集場所に捨てた時点でゴミに関する一切の権限がなくなる、と考える人もいるかもしれませんが、それは誤解です。

——どういうことでしょうか。

たとえゴミとして出して所有権を放棄しても、ゴミに対する管理責任や管理権限が無くなるわけではありません。

ゴミが世の中に迷惑をかけず適切に消えていくまでは、元の所有者に管理責任があります。責任を果たすためには権限が必要ですので、元の所有者にはゴミを管理する権限があるということです。

——「責任と権限」はゴミのようにポイッとは捨てられないということですね。

所有権を放棄しても、それを公園などに捨てれば「不法投棄」という犯罪行為になります。

たとえば、農薬入りの毒団子を路上にまき散らした人がいたとします。その人が、毒団子の所有権はないと主張しても、それを食べて犬が死んでしまった場合、責任を免れることは難しいでしょう。

●継続的なプライバシー侵害は慰謝料請求の理由になりうる

——今回のようなケースに出くわした際、どのように対応すればよいのでしょうか。

収集場所に出したゴミについては、それが社会的に適切な方法で処理されるまでは、元の所有者に管理責任・管理権限があります。

隣人に対しては、まずゴミ袋を自分に返すように要求し、他人のゴミ袋を勝手にチェックする行為がプライバシーの侵害であることを説明しましょう。

隣人の行為が日常的に続いているのであれば、民事上の訴えが必要だと思います。隣人が常習犯であれば、警察官を呼んでも一時しのぎにしかならないでしょう。

「何様のつもりだ」と怒鳴られたことだけを理由に慰謝料を請求することは難しいですが、継続的にプライバシー侵害がおこなわれていることを証明できれば、十分、慰謝料請求の理由になります。

(弁護士ドットコムライフ)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る