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コンビニコーヒー、100円カップに150円分注いで逮捕…「押し間違え」は通用する?
2022年04月19日 10時23分

コンビニで100円コーヒーのカップを購入したにもかかわらず、150円分のコーヒーを注いだとして、70代の男性が窃盗の疑いで、福岡県警に現行犯逮捕された。

報道によると、男性は4月13日午前5時半ごろ、福岡県糸島市内のファミリーマートで、Sサイズのコーヒー代100円を支払ってカップを受け取ったが、コーヒーマシンで150円のMサイズ分のコーヒーを注いだ疑いが持たれている。

店側は2021年12月、この男性によるコーヒーの不正購入を確認したため、店内で注意の貼り紙をしていた。しかし、その後も男性が同様の行為を繰り返したため、店側は警察署に相談したようだ。

相談を受けて張り込みをしていた警察官が4月13日、SサイズのカップにMサイズ分のコーヒーを注ぐ男性の姿を確認したため、窃盗の現行犯で逮捕した。

この男性は容疑を認めているようだが、セルフ式コーヒーの場合、ボタンを押し間違えるなどのミスも起こりえるだろう。押し間違えた場合でも、罪に問われることはあるのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。

コンビニで100円コーヒーのカップを購入したにもかかわらず、150円分のコーヒーを注いだとして、70代の男性が窃盗の疑いで、福岡県警に現行犯逮捕された。

報道によると、男性は4月13日午前5時半ごろ、福岡県糸島市内のファミリーマートで、Sサイズのコーヒー代100円を支払ってカップを受け取ったが、コーヒーマシンで150円のMサイズ分のコーヒーを注いだ疑いが持たれている。

店側は2021年12月、この男性によるコーヒーの不正購入を確認したため、店内で注意の貼り紙をしていた。しかし、その後も男性が同様の行為を繰り返したため、店側は警察署に相談したようだ。

相談を受けて張り込みをしていた警察官が4月13日、SサイズのカップにMサイズ分のコーヒーを注ぐ男性の姿を確認したため、窃盗の現行犯で逮捕した。

この男性は容疑を認めているようだが、セルフ式コーヒーの場合、ボタンを押し間違えるなどのミスも起こりえるだろう。押し間違えた場合でも、罪に問われることはあるのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。

●「押し間違え」は罪に問われない

——窃盗罪で現行犯逮捕されたようです。

窃盗罪とは、占有者の意に反して財物の占有を取得する犯罪です。

Sサイズのカップを購入したことで、店側が占有しているコーヒーにつき、Sサイズ分の量だけ占有を移転する権利を得ますが、Mサイズのボタンを押すことにより、店側の意に反した占有移転を実現したことになり、窃盗罪が成立します。

——単にコーヒーマシンのボタンを押し間違えた場合でも、窃盗罪に問われることはあるのでしょうか。

押し間違えた場合には窃盗罪に問われることはありません。

窃盗罪は故意犯、すなわち犯罪行為と認識しながら、あえて行為に及んだ者を処罰する罪ですので、押し間違えといった過失犯は罪に問われません。 

そうすると、捕まったときに「押し間違えた」と言い逃れができることになります。

本件でも、2021年12月に最初の犯行を確認した時点ではなく、注意の貼り紙までしているのにその後も同様の行為を繰り返したことから、「あえて行為に及んでいる故意犯」として刑事事件化したものと推察されます。

——今回は窃盗罪で現行犯逮捕されていますが、最初からSサイズのカップを注文してMサイズ分のコーヒーを注ごうとしていたような場合、詐欺罪にはならないのでしょうか。

詐欺罪の成立は難しいように思います。

たしかに、今回のようなケースでは、Mサイズ分のコーヒーを注ぐつもりで、そのことを秘してSサイズのカップを注文し、その意図を知らない従業員がSサイズのカップを渡しているでしょう。

ただ、外形的にはSサイズのカップを注文して、その代金を支払い、Sサイズのカップを受け取っているので、「Sサイズのカップ」についての欺罔(ぎもう)行為や詐取は見出せないように思います。

Mサイズ分のコーヒーを注ぐつもりでSサイズカップを注文したことは、犯意や犯罪の準備行為といった扱いではないかと考えます。

また、詐欺罪が成立するには、「欺罔行為→錯誤→財物の交付(行為)」が一連の因果でつながっている必要があります。

「Mサイズ分のコーヒー」を注いだ時点を捉えても、Mサイズのボタンを押したのはあくまで犯人であって、そこに店員の錯誤による交付行為を見出すことができません。

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