5178.jpg
渋滞もお構いなし!車の間をすり抜けるバイク 道交法違反ではないの?
2023年07月18日 09時59分

週末に自動車で家族と出かけたヒロアキさん(40代)は、高速道路での渋滞に巻き込まれた際、バイクが車の間をすり抜けていく様子を見て落ち着かなかったといいます。

「片側2車線の車線間を結構なスピードで走っていくので、車のドアミラーにでもぶつかったらと思うと見ているだけでもヒヤヒヤします。自分たちさえ早く目的地に着けばいいんだという振る舞いとも思えます」

バイクの運転手としては、渋滞で動けない車を横目にスイスイと進めるかもしれませんが、追い抜かれる側にとってはぶつかられるリスクしかありません。バイクで車の間やわきをすり抜けるのは法的に問題ないでしょうか。

週末に自動車で家族と出かけたヒロアキさん(40代)は、高速道路での渋滞に巻き込まれた際、バイクが車の間をすり抜けていく様子を見て落ち着かなかったといいます。

「片側2車線の車線間を結構なスピードで走っていくので、車のドアミラーにでもぶつかったらと思うと見ているだけでもヒヤヒヤします。自分たちさえ早く目的地に着けばいいんだという振る舞いとも思えます」

バイクの運転手としては、渋滞で動けない車を横目にスイスイと進めるかもしれませんが、追い抜かれる側にとってはぶつかられるリスクしかありません。バイクで車の間やわきをすり抜けるのは法的に問題ないでしょうか。

●すべての「すり抜け」が道交法違反ではないが…

道路交通法にすり抜けそのものを禁止する規定はありません。ただし、すり抜け方次第では道交法違反に当たる場合があります。

片側2車線の車線間をすり抜ける行為は、「追い越し」(道交法2条1項21号)またはいわゆる「追い抜き」に当たります。

追い越しは、進路変更(車線変更)して前方の車の前に出ることです。追い抜きは、一般に進路変更せずに前方の車の前に出ることを指しますが、道交法で定義されているわけではありません。違いは「進路変更の有無」です。

追い越しの場合は、原則として追い越そうとする車両の右側を通行しなければならず(道交法28条1項)、片側2車線以上の場合には右側の車線へ進路変更して通行しなければいけません(車両通行帯違反、同20条3項後段)。

ヒロアキさん目撃のケースが進路変更を伴わない走行だった場合には「追い抜き」、すなわち「追い越し」ではないため、追い越し違反などが適用されない可能性があります。

もっとも、バイクのすり抜けは、車線(車両通行帯)を区画する車線境界線上付近を走行しているケースも少なくありません。左右の車線を行ったり来たりしているようなすり抜けは、ウインカーを出しておこなう車線変更をせずに「追い越し」をしているとして、道交法違反になる場合もありそうです。

追い越し違反は「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」(道交法119条1項6号)、車両通行帯違反は「5万円以下の罰金」(120条1項3号)が定められています。

すり抜けは、たとえ道交法違反にならない場合でも、追い抜こうとした車のボディやドアミラーなどにぶつかるリスクがあります。また、一般道なら、右左折しようとする車との接触事故にもつながりうる危険な行為です。運転時には、早く目的地に着くことで得られるわずかな時間を惜しむのではなく、生命・身体の安全を最優先にすべきだと心がけましょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る