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大阪の風俗店「全従業員が陰性だった」とウソ宣伝、府警「激おこ」摘発の背景
2020年07月01日 10時23分

新型コロナウイルスの検査を受けさせていないのにも関わらず、すべての従業員が「陰性だった」と偽って、ホームページ上で宣伝したとして、枚方市の店舗型風俗店の経営者と従業員が6月24日、不正競争防止法違反の疑い(誤認惹起表示)で大阪府警に再逮捕された。

大阪府警・生活安全特別捜査隊によると、2人は5月6日、店のホームページに「休業中に店内の除菌清掃の徹底を実施し、ウイルス検査の結果、全従業員に陰性診断がおり、安全が確認されました」という内容を掲載した疑いがもたれている。

しかし、実際は、ウイルス検査はおこなっていなかった。ホームページを閲覧して、やって来た客もいたという。不正競争防止法の「誤認惹起表示」が、風俗店に適用されるケースは全国で初めて。

生活安全特別捜査隊は「ウイルス検査で全員が陰性だったとしても、表示の仕方を注意しないといけない。全員が検査したから安全な店とはいえない」と注意を呼びかける。今回の摘発は、そのように警鐘を鳴らす意味もあるという。

なお、経営者らは6月上旬、営業が禁止されている地域で違法に営業していたとして、逮捕されていた。

新型コロナウイルスの検査を受けさせていないのにも関わらず、すべての従業員が「陰性だった」と偽って、ホームページ上で宣伝したとして、枚方市の店舗型風俗店の経営者と従業員が6月24日、不正競争防止法違反の疑い(誤認惹起表示)で大阪府警に再逮捕された。

大阪府警・生活安全特別捜査隊によると、2人は5月6日、店のホームページに「休業中に店内の除菌清掃の徹底を実施し、ウイルス検査の結果、全従業員に陰性診断がおり、安全が確認されました」という内容を掲載した疑いがもたれている。

しかし、実際は、ウイルス検査はおこなっていなかった。ホームページを閲覧して、やって来た客もいたという。不正競争防止法の「誤認惹起表示」が、風俗店に適用されるケースは全国で初めて。

生活安全特別捜査隊は「ウイルス検査で全員が陰性だったとしても、表示の仕方を注意しないといけない。全員が検査したから安全な店とはいえない」と注意を呼びかける。今回の摘発は、そのように警鐘を鳴らす意味もあるという。

なお、経営者らは6月上旬、営業が禁止されている地域で違法に営業していたとして、逮捕されていた。

●自由競争主義に反する

そもそも、不正競争防止法はどんなときに適用されるのだろうか。今井俊裕弁護士が解説する。

「不正競争防止法は、事業者間における公正な競争を確保することを目的とした法律です。

たとえば、本当は粗悪な商品なのに、真実に反して、その品質を有能なものである誤認させる広告をしたり、あるいは有名な原産地の産物であるかのように誤認させる表示をして販売するなどの行為を禁じています。

そのようなアンフェアな手段を使えば、商品の品質や内容で勝負して消費者の購買意欲にうったえかけるという本来の自由競争主義に反するからです。ひいては、消費者がその負担をかぶることになります。

これは物販業ではなくサービス事業でも同様です」

●全員陰性は訴求力がある

今回摘発されたのは、店舗型風俗店の経営者らだった。

「風俗関連の事業者はもともと、公安委員会などから厳しい規制を受けています。ただ、その規制は、あくまで社会の性風俗の維持などからで、事業者間のフェアな競争確保からではありません。

今回の事件では、スタッフがコロナ感染に関する検査を受けていなかったにもかかわらず、陰性であるという広告をしていたようです。そのような広告はコロナ感染拡大がおそれられているこのご時世において、当然ながら、客層に一定程度の訴求力があり、サービス内容の安全性について誤認させます。

このような観点から、不正競争防止法で摘発されたものと思われます。

また刑罰は本来、実際にその禁止される行為をした人に適用されるのが筋です。しかし、それではトカゲの尻尾切りに終わることもありえますし、実効性がないことも懸念されます。そこで両罰規定といって、実際に禁止行為をおこなった人を雇用する法人や、経営者にも罰金刑を科するという規制があります。

今回の事件でも、その規制を利用して経営者を摘発したのだと思います」

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