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1億3000万円を脱税「たこ焼き店」在宅起訴、問われる日本人の「納税意識」
2018年09月01日 09時13分

大阪国税局は、1億3000万円を脱税したとしてたこ焼き店の店主を告発し、大阪地検が在宅起訴した。産経新聞などの報道(8月27日)によれば、この売店は大阪城公園内にあり、たこ焼きの他、ソフトクリームなどの軽食を販売していた。

この数年は外国人観光客の増加で、繁盛していたようだ。2016年までの3年間に約5億8000万円の売り上げがあったが、これまでは家族で細々と営業してきたため、税務申告を一切していなかったという。

家族経営の店で起きた今回の脱税。家族経営のお店などでは納税においてどのような点に注意すべきなのだろうか。冨田健太郎税理士に聞いた。

大阪国税局は、1億3000万円を脱税したとしてたこ焼き店の店主を告発し、大阪地検が在宅起訴した。産経新聞などの報道(8月27日)によれば、この売店は大阪城公園内にあり、たこ焼きの他、ソフトクリームなどの軽食を販売していた。

この数年は外国人観光客の増加で、繁盛していたようだ。2016年までの3年間に約5億8000万円の売り上げがあったが、これまでは家族で細々と営業してきたため、税務申告を一切していなかったという。

家族経営の店で起きた今回の脱税。家族経営のお店などでは納税においてどのような点に注意すべきなのだろうか。冨田健太郎税理士に聞いた。

●一般的に「粉モノは利益率が高い」

ーー訪日韓国客が増えた影響なのでしょうが、繁盛していたようですね。

「まさか年商2億円近くあったとは驚きですね。このお店ではたこ焼き以外も販売していたそうですが、1皿600円のたこ焼きを2億円分売ったと仮定すれば、年間で実に30万皿以上の計算です」

ーー今回は脱税ということで、重いペナルティーが課されることになりますよね。

「そうです。この金額は本税部分だけですので、重加算税や延滞税などのペナルティ的な税が課せられます。特に重加算税については最大で脱税額の40%にもなりますので、仮に、全ての脱税額に重加算税が課せられた場合は、実に5,200万円もの税金を余分に支払わなければならないことになります」

●細々とやっていれば税金は支払わなくて良い?

ーー事業をしていれば、誰でも税金を払わなければならないのでしょうか?

「報道によれば、お店側の言い分としては、家族で細々と経営しているから税務申告はしていなかった、とのことです。もしかしたら、同じように考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それはもちろん勘違いです。

事業をする場合、法人であっても個人であっても、基本的には申告が必要です。細々とやれているということは一定の利益は出ている訳ですので、その利益に対して法人税又は所得税の申告をしなければなりません」

●いくら以上儲かったら納税する?

ーー「細々とやっている」場合でも、納税は必要ということですね。

「法人の場合は、『利益が出る=税金が出る』となりますので、いくら利益が少ないといっても納税をしなければなりません。また、個人の場合は所得控除額を超える部分の金額に対して税金を支払う必要があります。

所得控除額は人によって異なりますが、誰にでも認められている控除は基礎控除の38万円だけです。つまり、年間38万円超の所得がある場合は、税金を支払うことを考えなければなりません。

こういった状況ですので、『細々とやっているから納税はしない』というのが誤った見解であるということがお分かりかと思います」

ーー年間38万円ギリギリの年収では生活は厳しいことが予想されますが、それでも納税は必要なのでしょうか。

「給与所得者の場合、給与の支払時に源泉徴収により先に納税をします。基本的に月収8万8000円以上の場合は源泉徴収が必要となります。仮に月収8万8000円とした場合、かなり細々とした生活になってしまうかと思いますが、それでも納税をしているのです。

したがって、細々とやっている個人経営のお店であっても、確定申告により納税をするのは当然のことなのです」

●「細々と稼げば細々と、派手に稼げば派手に課税される」

ーー今回のような事件が起こる背景には、納税に関するルールが国民の間に定着していないという事情もありそうです。

「我が国では、多くの方が給与所得者ですので、あまり税金に対して関心がないのかなと思います。その風潮が個人事業主や法人にもあることで、こういった事例が生じてしまったのではないでしょうか。

基本的には、所得がいくらであったとしても税金は発生します。細々とやっている家庭は細々と課税され、派手に稼いでいる家庭は派手に課税されます。我々は、日本に住んでいることで様々な恩恵を受けていますので、その役務提供に対する対価として納税をするのは当然のことだと私は思います。

払いたくない気持ちも分かりますが、税収がなければ国は破綻してしまいます。儲かっている部分にしか課税されていませんので、適正な申告をして納税をして頂きたいと心から思います」

【取材協力税理士】

冨田健太郎(とみた・けんたろう)税理士

税理士はお客様にとって「かかりつけ医」のような存在であるべきと考えております。そのため、当事務所ではお客様との対話を最も大切にしております。よく話を伺い、それを踏まえた最善の提案をご理解頂けるまで何度でも説明致します。

事務所名   : 税理士冨田健太郎事務所

事務所URL: http://zeirishiken.com/

(弁護士ドットコムニュース)

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