オンラインカジノで賭博した疑いがあるとして、複数のタレントが警察に事情を聴かれたと報じられました。こうした状況の中、弁護士ドットコムに「オンラインカジノ」に関する相談が複数寄せられています。この中には「オンラインカジノで借金を作ったけど、自己破産できるか?」という内容のものもありました。
●令和ロマン・高比良くるまさんは「違法ではない」という認識だった
吉本興業に所属する複数のタレントが警察に事情を聴かれたと報じられ、その中には、漫才日本一決定戦「M-1グランプリ」で優勝した人気お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんの名前もありました。
高比良さんは2月15日、公式YouTubeチャンネルで、オンラインカジノをしていたことを認めて謝罪しました。
大学時代の知人から「海外の口座で送金してオンラインカジノをやっているのは違法ではない」と誘われて、違法ではないという認識のまま、2020年末まで続けていたそうです。
芸能界を揺るがすようなニュースですが、国際カジノ研究所が2024年8月末から9月冒頭にかけて調査したところ「間近1年にオンラインカジノで賭けをおこなったことがある」日本国内居住者は約346万人に相当すると推計されたといいます。
このようにオンラインカジノは違法であるにもかかわらず、身近にあり、はびこっている状況といえそうです。
弁護士ドットコムには「オンラインカジノ」に関する相談が寄せられており、数百万円の借金を作ったけど「自己破産できるか?」といった内容もありました。冨本和男弁護士に聞きました。
●自己破産できるが「免責」されない可能性がある
オンラインカジノで借金を作った場合、「免責」されない可能性はありますが、「自己破産」はできます。
破産自体は、債務者の財産を清算する手続き(債務者の財産がお金に換えられて債権者に配当される手続き)ですので、借金の理由は問題になりません。
しかし、浪費や賭博などによって、著しく資産を減少させたり、過大な借金を抱えたりすることは、免責不許可事由とされています(破産法252条1項4号)。
この免責こそ、破産者が経済的に人生をやり直すために破産しても残ってしまった借金について支払わなくてもよいようにする制度です。
自己破産しても、この免責が認められなければ、借金を返済していく必要があります。
●裁判所が「免責」を認めるケースもある
ただし、免責不許可事由があっても、裁判所は、破産に至った経緯などを考慮して、破産者の免責を許可することができます(破産法252条2項)。
たとえば、その人が反省していることがうかがえたり、ギャンブル依存症の場合は医療機関に通っていたり、債権者から免責について異議も出ていないなどの事情がある場合です。
そもそも、オンラインカジノで賭けることは「賭博罪」という犯罪にあたります。
「海外で合法的に運営されているから大丈夫」といった誘い文句ではじめる人もいるようですが、日本でやっている以上はやはり犯罪ですので、手を出してはいけません。