日本弁護士連合会(日弁連)は8月6日、2026年から実施予定の司法試験のCBT(Computer Based Testing)方式導入について、受験予定者への配慮を求める会長談話を発表した。法務省に対し、操作性改善や法文の紙媒体配布などの制度設計を早急に整えるよう求めている。
政府は2024年6月の閣議決定で司法試験と司法試験予備試験のデジタル化推進を方針として決定。CBTとは、従来の紙での筆記試験に代わり、コンピューター画面上で問題を読み、キーボードで解答を入力する試験方式で、ITパスポート試験などで既に導入されている。
法務省が準備を進め、CBTシステムの体験版アプリケーションやQ&Aを公表。7月30日までに複数回の改定が行われ、CBTテストセンターでの実施やモニター大型化、答案構成用紙の紙媒体配布などが決定された。
●「いまだに検討課題が残されており、受験予定者が不安定な状況に」
しかし日弁連は、法科大学院協会のアンケートで多くの要望が寄せられた、司法試験用法文(六法)や問題文の紙媒体配布が実現されていないことを問題視。「いまだに検討課題が残されており、司法試験等の試験準備及び習熟期間確保等の面において受験予定者が不安定な状況に置かれている」と指摘した。
談話では、司法試験について「裁判官・検察官・弁護士という法曹三者を選抜する国家試験であり、社会における法的需要に応え、司法基盤を支えるための有為な人材を確保することで、法の支配を実質的に担保する制度である」と位置付け。「受験者がその実力をありのまま発揮できるよう制度設計されなければならない」と強調している。
日弁連は法務省に対し、「これまでの改定にとどまることなく、アプリケーションの安定した機能提供を含む操作性改善や司法試験用法文等の紙媒体の配布等、受験予定者の声を尊重した制度設計を実現」するよう求めた。