この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
ご相談者は、マッチングアプリで知り合った女性と複数回性交渉を持ちました。しかし、実はご相談者は既婚者であり、性交渉後に、相手の女性に既婚者であることが発覚してしまいました。女性からは、既婚であることを知っていれば性交渉を持つことはなかったので、自身の貞操権が侵害されたとして、300万円の損害賠償請求を受けました。
解決への流れ
ご依頼後、相手方の女性に対して連絡したところ、相手方の女性はすぐに弁護士を立てました。そこで、相手方の弁護士に対し、貞操権侵害に基づく損害賠償請求の減額交渉を行いました。具体的には、ご相談者と相手方の女性は3カ月という短期間に数回の性交渉をしたのみであり、交際期間は短いといえること、交際前および交際中において、ご相談者が既婚であるか否かはまったく話題にはなっていなかったこと、ご相談者は相手方の女性に対し、結婚したいと発言したことはなく、交際自体も真摯な男女間の交際であるとはいえないこと、したがって貞操権侵害は成立しないと主張しました。相手方の弁護士は200万円を主張していましたが、結果としては30万円の解決金の支払いにて和解成立となりました。
既婚であることを隠して性交渉を持った場合、相手方の女性から、貞操権侵害に基づく慰謝料請求を受ける可能性があります。貞操権とは、自身の性的自由をコントロールする権利です。慰謝料の額の算定にあたり、交際の経緯、交際期間、交際内容、妊娠の有無、結婚の約束の有無、などが考慮されます。したがって、減額交渉においては、当該具体的な事案に基づいて、できるだけ有利な事情を拾い上げて、相手方に粘り強く交渉していくことが重要となります。