この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
私のところに相談に来る前の段階で、医療側は、事故の責任そのものは認めていたという事案なのですが、急変時の看護師の対応ミスであるとの説明があったにもかかわらず、看護師自身の謝罪がないことと、賠償の提示額があまりに低いこともあって、助言を得たいということから、交渉事件として受任した事件です。
解決への流れ
引き受けてカルテ等を精査してみたところ、看護師のミスというよりは、手術時点で気道を傷つけていたことと、にもかかわらず、そのことによる急変のリスクが高いことが当直医、看護師に申し送りされていなかったこと等がより重大な問題であるとの結論に至りました。謝罪ということもありましたが、医療側代理人と交渉して、ミスをしたとされる看護師との面談を実施し、看護師自身の心情を確認し、依頼者に伝え、納得を得ました。損害算定については、当時の勤務先に確認をするなどして、逸失利益がより高いものであることの証拠を入手の上、賠償額を増額させ、示談による解決となりました。
看護師との面談の実施によるご遺族の納得ということもありましたが、最終的には、病院の代表者と当時の主治医に、死亡した被害者の墓に来てもらい、手を合わせてもらった事案です。こうした解決は、医療側の代理人が良識的でないとなかなか難しいところがありますが、そうした意味では、医療側代理人との意思疎通がうまく行った事件ともいえますし、良い解決とは何かを考えさせられる事件でもありました。