この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
土地及びその上に建物を所有し、建物を4人家族に賃貸していた方が、隣地所有者が家を建て替えるために敷地を譲ってほしいと提案され、敷地売却のため賃借人に退去してもらうことを希望していた相談です。賃借人に賃料不払い等の債務不履行はなく、任意での明渡を求め、明渡できない場合には賃料を増額(9年間低廉な賃料据え置きでした)する方針で交渉することとなりました。なお、賃借人家族は、賃借人である父が別居、上の子は独り立ちし、中学生の下の子と母のみ居住しており、父母は離婚を争っている状況でした。
解決への流れ
賃借人へ通知後、別居する夫側は、妻側が退去に納得すれば明け渡しに合意する旨返答があり、妻側と交渉をしていきました。妻側は、当初、離婚が確定しなければこのまま居住したい、中学生の子が高校受験を控えているから転居は難しい、などと述べ、明け渡しに応じませんでした。こちらからは、当初から低廉な賃料設定であったことから、賃貸借継続の場合は賃料増額が必要なこと、退去にあたって代替物件を提案できること、一定の金銭補助をすることなどを伝え、明け渡しを求めました。最終的には、下の子の受験が終わり、離婚についても決着がついた時点で、一定の金額を支払うことで、任意の明け渡しについて合意し、定めた期限までに退去してもらいました。
賃借人に債務不履行がない場合であっても、交渉によっては明け渡しが認められる場合もあります。調停や訴訟など、手段は様々ですが、建物の状況やこれまでの賃貸借の経緯、賃借人側の事情などを踏まえ、必要となる費用や時間もにらみながら、最適な手段を検討することが必要です。