この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
【事故態様(※概要です)】①当方車両は優先道路を直進していた。②事故現場である丁字路交差点に差し掛かったところ、相手方の車両が、一時停止線を越え、丁字路を左折しようとしていた(左ウインカーを出していた。)。③当方車両運転手は、相手方車両がすでに一時停止線を越えており、今にも左折のために交差点内に進入しようとしている様子を見て、交差点の手前で一時停止した。④そうしたところ、相手方車両がバックで一時停止線まで下がって停止した。⑤当方車両運転手は、相手方が④の行動を取ったことから、相手方が道を譲ったと認識し、直進した。⑥ところが、当方車両が交差点内を直進中に、相手方が突如前進し、交差点へ進入してきて衝突に至った。【過失割合】①当方は、このような状況では相手方の車両の動きを予測することはできず、相手方の過失が100%である旨主張しました。②ところが、相手方契約の保険会社は、相手方の過失を90%までは譲りましたが、それ以上は譲ろうとしませんでした。【訴訟提起】一般的な傾向として、双方車両が動いている状況で、一方の車両の過失が100%ということはなかなか難しいのですが、本件では相手方車両の動きが極めて特殊であることから、訴訟提起して裁判所の判断に委ねることと致しました。
【裁判の経過】・裁判において、当方としては、相手方車両の動きが特殊であり、当方としては、相手方車両が再発進してくることは予測困難であり、当方に過失は発生しない旨主張しました。・相手方は、本件事故は見合い事故であることや相手方車両が先に交差点に進入していたことから、当方にも過失がある旨を主張しました。【裁判所の判断】・本件は、裁判上の和解も成立することは無く、判決に至りました。・判決において、裁判所は、相手方側に「一時停止の規制のある道路から交差点に進入するする車両を運転する相手方には、交差する道路を走行する車両の進行を妨げてはならない義務があるのに、それを怠り、当方車両の動静を注視しないまま交差点に進入した過失がある」こと、また、「相手方は、交差点に進入する前に容易に当方車両の存在を認識できたのに、前方不注視により当方車両の存在を認識することなく交差点に進入した過失がある」などの理由により、当方の過失をゼロ、相手方の過失を100%と判断しました。
・近年、ドライブレコーダーを搭載している車両が多く、交通事故案件においてもドライブレコーダー映像があるという場面が増えてきましたが、ドライブレコーダー映像があっても事故の過失割合が問題となる場合も少なくありません。・本件においてもドライブレコーダー映像により事故態様自体は明らかであったものの、それに対する過失割合が双方にて折り合わず、訴訟に至ったという事案です。・前述したとおり、双方車両が動いている状況において、一方の過失がゼロである旨判断されることはなかなか無いとは思うのですが、本件はそれを差し置いても相手方車両の動きが特殊であり、当方としては相手方車両の動きを予測することが極めて困難であるという事情があったことから訴訟に踏み切りました。・結果、当方の主張が認められ、相手方の過失が100%と判断されました。・最後まで諦めずに、相手方の100%過失を主張して良かったという事案となります。